
「Architect Cafe SNS」オープン!
建築家とお客様のコミュニティースペースとしてSNSをオープンしました。
このSNSでは、家づくりの情報や建築家の考え方など普段知りえない情報などが満載です。


■石井井上建築事務所
東京都文京区本郷3-22-3 協立ビル3階
tel:03-5684-3620 fax:03-5684-3620
http://www.d1.dion.ne.jp/~isiidai
■略歴
石井 大 |
井上牧子 |
日常の生活は、曖昧で、矛盾もあり、形の定まらないものです。家をつくることはそこにひとつのはっきりした形を与えていくことです。建物はどれだけ細かく設計しても、有機的な形態を用いても一種の幾何学です。形のない「生活」と何らかズレを生じることは必然的といえます。しかしそこに、建築の、家づくりの面白さがあるのではないかと思います。私たちは、この、生活と幾何学のズレを前向きにとらえていきながら、シンプルだけど単調ではない、楽しい空間をめざしています。
住宅でインテリアをすっきりとした印象にするためにはモノを整理、収納する必要があります。
整理、収納を突き詰めると扉つきの壁面収納のようなものに行き着きます。
壁面収納は扉を閉じたら壁のようになり抽象的なすっきりした部屋になります。
この状態ではモノは完全にコントロールされています。空間(=建築)がモノにまさった状態です。
こういう整理が行き届いた空間の体験は、快適さのひとつであり、そのような空間イメージを求める人も多いかもしれません。
しかしあらゆるものが建築に組み込まれていく息苦しさを感じさせる場合もあるように思います。
「計画」がいきわたりすぎている感じといってもいいでしょう。
モノと空間の関係にはもう少し別のありかたもありそうです。
建築化された収納に代わるものに、チェストや飾り棚、クローゼットといった収納家具(置き家具)があります。このような家具自体モノをしまう「モノ」であり、大きさや、可動である点で人と建築の間に位置付けられるものです。
家具は、お店で購入するものであれば、その人の好みを表現することができ、移動できるので模様替えにも対応できるというメリットがあります。
しかし、最近の住宅建築では収納は造り付けにすることが多く、クローゼットを買ってきて使うような例は少ないようです。
ポルトガルの建築家アルヴァロ・シザが設計する住宅のインテリアの写真を見ると気がつくことがあります。
壁面収納的なものはあまり見られず、ガラス扉がついた飾りだなやクローゼット様の木製の収納家具がなにげなく置かれています。
これはヨーロッパによくあるインテリアのシーンではありますが、モノと空間の関係についての示唆があるように思います。ここでの収納家具は、多くは彼がデザインしているようです。しかしあえて建築と一体にせずに空間におかれています。
シザが設計する住宅は建築家の意図が隅々までいきわたった完成度の高い建築です。完成度の高い建築はときにその利用者を拘束する雰囲気をつくってしまうことがありますが、彼の建築にそういう雰囲気があまり感じられません。それはこの家具の扱いに関係がありそうです。
彼はモノと空間の間に主従関係を生じさせないことを考えているのではないでしょうか。
モノを空間に縛り付けずにおけると、住む人は、自ら空間を変えたりつくったりする自由があるという感覚を持つことができるのではないでしょうか。
私たちは最近置き家具の良さを見直しています。現在計画中の住宅では、置き家具をうまく活かす場面をつくれないか考えています。
そのことが、モノ、空間、それらと人との関係をとらえなおすきっかけになり、気楽さをともなった新しい生活イメージにつなげていけそうな気がしています。